To Heart
「もう酔ってるの?」

「え? なんで?」

「昔の啓太くんなら、出てこない言葉でしょ? 今のは」

「そうか……そうだよね。まぁ、僕も少しは大人になったって事かな」

「そう……」

理央ちゃんは、何故だか少しガッカリしているように見えた。

小さな沈黙が訪れる。

僕はカマンベールチーズを一欠片(ひとかけら)口に運び、シャンパングラスに口を付けようとした。

すると、理央ちゃんが突然

「もう童貞じゃないの?」

と、真っ直ぐ僕の顔を見ながら尋ねてきたので、僕は危うく口に入っている物を吹き出しそうになり、激しくむせた。
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