To Heart
しかし、その一方で僕は、今更のように気が付いた。

こういうおしゃれな店に、大学生の男が一人で頻繁にケーキを食べに来るというのは、あまりない事だったのだろう。

もしかしたらよっぽど目立っていたに違いない。

僕は急に今までの自分の行動が恥ずかしくなり、全身がカッと熱くなった。

「そ、そうなんですよ! ここのケーキにハマってしまって。じ、実はここでバイトできないかと思って通っていたんです」

その場を繕おうと必死になり、考えることなく口から出任せが飛び出す。

あまりに滑らかに口が動くので、自分でも驚いた。
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