To Heart
「そうなんですか!」

言いながら、彼女は嬉しそうに笑う。

思わず見とれそうになりながら、必死に冷静を装う。

「分かります! 私もそうでしたから」

「え?」

「私もお客さんとして来て、気に入っちゃって。あ、今オーナーいるから募集しているか聞いてみましょうか?」

自分で言った事とはいえ、おかしな流れになってしまったぞ!?

「あ、いや…それは……」

「ちょっと待っていて下さいね」

僕が言った出任せに対して、すでに仲間意識が芽生えているのか、彼女はとても親しげにそう言ってオーナーに確認を取りに行った。


そんな冗談みたいな成り行きで、僕はこの店でバイトをすることになったのだ。
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