To Heart
(3)バイト
カフェでのバイトは、僕にとって簡単なことではなかった。
それまでしていた荷物の仕訳作業と違い、お客さんと話をしなければならない。
おしゃれな店構えのせいで、この店は女性客が殆どの割合を占めている。
決まり文句だけとはいえ、ただでさえ女性と話すときに緊張してしまう僕は、オーダーを取りに行く度に、背中に妙な汗をかいてしまう。
更に制服!
白いシャツに、黒のベスト。黒いパンツに、黒いサロン。
ここまでは、まあいいとしよう。
しかし!
黒いサテンの蝶ネクタイ!
これだけは何度見ても馴染めない。