To Heart
何枚も失敗して、書いた初めての文字は「おかあさん」だった。

「お」がやたらと大きくて、「さ」は鏡文字。「ん」はスペースが無くて申し訳程度になっていた。

先生は僕の書いた、お世辞にも上手とは言えない文字を見て、

「この「おかあさん」という字は、啓太くんがお母さんの事を大好きという気持ちがよく出とるなぁ」

と、優しい笑顔で褒めてくれた。

その言葉が嬉しくて、僕は書道が好きになった。

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