To Heart
「そうだよね……なにか言ってた? 藤田さん」

「えっとねぇ……『啓太くん童貞だったんだよ! あんな顔して有り得ないよ! 私、啓太くんってクールな感じがいいなって思ってたのに! あんなのただのヘタレだよ! いきなり逃げたんだよ! もう、啓太くんなんかや~めた!』」

理央ちゃんは、見事に真美子ちゃんの口ぶりを真似る。

「……って!」

「そうだよね……」

大きなため息が、一つ出た。

「『あんな顔』ってなに?」

「分かってないみたいだね。川口くん、見た感じ結構イケてるんだよ。口数も少ないからクールに見えるのね。実際は、女の子と話せないだけの内気くんみたいだけど……ねぇ、ちょっと寒くない?」

理央ちゃんはそう言って自動販売機を指さし

「コーヒー飲みながら、中でゆっくり語ろうよ!」

と言って笑った。
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