翡翠の姫君




「…会いたいなぁ…」



ポツリとか細い声が出た。


会いたい…




「誰に会いたいって?」



突然ドアの方から声が聞こえた。



「ぅわぁっ!!!!!!!!」



ビクッと体が揺れて、勢いよく体を起こした。



そこには、ドアを開けて顔を出してるセルト。



「おっまえなぁっ!!!
入るならノックくらいしろよ!!!!」



「したよ何回も。おまえが返事しないから、覗いたんだろー。」



そう言いながら、部屋に入ってきた。



ノックなんて全く聞こえなかった…。



「…で?誰に会いたいって?」


ニコっと笑いながら近くの椅子に座って聞いてきた。



「別に…」



パッと顔を反らして呟く。


「ふーーん。」



笑いながら机の上にあった本を手に取りパラパラと眺めている。



…なんなんだコイツは…



なんかこの余裕の表情が腹立つ…!!



全て見透かされているみたいで。





じっとセルトを睨んでいると、パンっと本を閉じてニカッと笑い


「まぁ…あとちょっとの辛抱だ!!
もうすぐ、たっぷり会えるさ!!」



そう言って立ち上がりドアの方へ歩いて言った。




「レオも頑張らないと〜。
あとちょっと書類残ってるぞー」


最後にそう告げて出ていった。




…バレてる………





やっぱりあいつには敵わない。






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