忘れられない人
「・・・なんか悪いね。湊、遅いみたいで。オレさぁ、女の子とこうして飲んだりするのって、苦手で。たいていバイク仲間とつるんでることが多いから、自然と集まるのは男ばっかだし(笑)。あまり気がつかないっていうか・・・うまく話せないんだよね。」

正直にそう話してくれる、凌の気持ちが嬉しかった。

「あのっ。前に会ったとき、バイクが好きだって話してましたよね。私ね、ほんとにほんとに、バイクに一度乗ってみたいなって思ってて、できたら後ろに乗っけてもらいたいな、なんて・・・。ダメ、ですかね?」

私はダメもとで、もう一度聞いてみた。

また、流されたらあきらめよう。

「めずらしいね、女の子なのに。汚くなるし、暑いし寒いしで、あんまりいいことないと思うよ。」

・・・これって、遠回りに断られてる?

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