名残の雪
「…別れた。3月31日に」

そう一言だけ告げたわたしは、知恵を振り切り歩き出す。


「えーっ!?なんで!?」


なんで…と言われても。


「大人の事情ってやつ?もったいなーい。カッコよかったのに~」

なかなか口を割らないわたしに知恵の口が暴走していく。


「23歳だったっけ?ほんともったいない!車持ってて、あれだけカッコイイ人なのに。なにかしたんでしょ!?今ならやり直せるよー?」
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