理想彼氏
わかってる。
別に、僻まれたのは今日が初めてじゃない。
それに、もう慣れた・・・
―だけど・・・
だけど、
目頭が熱くなるのをグッと堪えて、印刷室まで足早に歩いた。
***
―ガラッ
薄暗い印刷室。
無造作に散らばった紙。ほこりっぽい部屋の背景が余計心を沈める。
適当な机に箱を置くと、バサバサッ、とプリントが落ちた。
早く、帰ろう。
不意に零れてきた涙を、ブレザーの袖で拭った。
踵を返し、ドアノブに手をかけたとき
―グイッ
『!!?』
何かに引っ張られた。