花かがり 【短編集】
唯子は恐る恐る、布団に隠れている自分自身の躰を見た。


「なんで…」
… なんで? …
何度も何度も思った。

そう、そこに見たモノは、夢じゃなく現実だった。

あらわになった、唯子の躰。


「夢…じゃ、夢じゃ、なかったの?」
リアルな感触と、顔の無い男の声が蘇る。

… また、来るからな …
男は、そう言って消えた。


夢なのか、幻なのか、現実ともいえぬ感覚が唯子を襲う。

そして、恐怖が唯子に涙を流させた。






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