ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

聖斗…
聖斗は、どうして
全てを悪い方にばかり考えるの?


実子になってたら喜んでもいいはずなのに…


そこまで否定的に考えるのは
やっぱり、あの手紙があるからなんだよね。


その頑なな姿は
いかに聖斗の心の傷が大きいかを
物語っているかのようだった…




大学から紹介された下宿、と言っても
意外と新しいワンルームマンションみたいで
私には十分過ぎる部屋だ。


簡単に掃除を済ませ
荷物を運び入れる。
家具は備え付けだから
引越しは、あっと言う間に終わってしまった。


「そろそろ帰るか…」

「えっ、もう帰るの?」


私と伯母さんが
驚いて声を上げる。


「もう、なんもすることねぇんだろ?
俺、今日の夜
約束あんだよ」

「約束…」


まさか、女の人…?


「仕方ないわね…
ちょっと待ってて
管理人さんに挨拶してくるから…」


伯母さんは、そう言うと
菓子折りの包みを抱え部屋を出て行く。


「聖斗…約束って…」


さっきから、聖斗はずっと
携帯でメールを打ってる。


「前から付き合ってくれって言われてた女が居る。
そいつと飯食いに行く約束したんだ…」


まさか…


「それって…大川さん?」

「さあな…」


酷いよ…聖斗…

平然とした顔で
そんな残酷なこと言わないでよ…

私の気持ち知ってて
どうして意地悪なことばかり言うの?


「…妹の私を
もう女としては見れないってこと?」


やっと聖斗が、携帯から視線を私に向けてくれた。


今にも溢れ落ちそうな涙を溜めた
私の顔を見ても
聖斗の表情は変わることはなかった…


「まぁ、そんなとこだな…」



そこには、もう
私を愛してくれてた聖斗の姿は
無かった…


愛は…消えていた…

























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