ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「美羅…」

「何してるの?」


顔を上げた聖斗は
疲れているのか
虚ろな目をしてる。


「…美羅に話しがあって来たんだけど
お前、居なかったからさ…」

「そう…」

「兄貴の部屋に居たんだろ?」

「…うん」

「仲良くやってんだな」


呟く様な小さな声…


「理絵さんと、赤ちゃん
なんともなかったそうだね。
良かった…」

「あぁ…」


表情を変えることなく頷く聖斗の前に座り
私は自分の決心を伝えるべく
彼の目を真っ直ぐ見つめた。


「私も…聖斗に話しがある」

「なんだ?」


真顔の私に
少し戸惑いを見せる聖斗


このことは、誰かに聞かされる前に
私の口から
聖斗に言いたい…そう思ったんだ。


「あのね、私…
優斗と結婚することにした…」


「……」


何も言わず
目を伏せる聖斗。


「忘れる…聖斗のこと、忘れるから…
これからは優斗のことを想って生きてく。
聖斗も理絵さんと幸せになってね」


すると聖斗は乾いた笑みを浮かべ
「幸せか…」と、目を細める。

「美羅が幸せになるなら
それでいい…
俺のことなんか心配すんな」


聖斗…


「俺は幸せになろうなんて
思っちゃいないよ…」


どうして?
どうして、そんな寂しそうに笑うの?


「昨夜は、悪かったな…
美羅の大切なドールハウス
壊しちまって…
理絵がやったんだろ?」

「…えっ!
理絵さんが言ったの?」

「まさか…
アイツが正直に言うはずねぇし…
昨夜、この部屋に入って
コレ見た時、すぐ分かった。

理絵がやったんだってな。

それに…
美羅が理絵を突き飛ばしたってやつ
あれも理絵の作り話しなんだろ?」

「聖斗?」

「あの時は、ああ言うしかなかった…
俺が美羅をかばえば
理絵は益々頭に血がのぼって
収集がつかなくなると思った」

「じゃあ、あれは…ワザと?」







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