ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「当たり前だろ?
美羅は、俺が本気であんなこと言ったって思ってたのか?」

「あぁぁ…」


私、気付かなかった…
聖斗がそこまで考えて
お芝居してたなんて…


「なんだよ。
マジでアレ、信じてたのか?」

「…うん」


聖斗は呆れた顔でため息をつく。


「まったく…美羅らしいな。
俺ら、何年一緒に暮らしてんだよ?
美羅がそんなことする女じゃないってことくらい
俺が分からねぇって思ったワケ?」

「ごめん…
私、てっきり聖斗は理絵さんの言うこと信じたんだって…
だから
怒ってるって思ってた…」


自分が情けなかった。
私は聖斗の気持ちを
全然、理解出来なかった。


勝手に嫌われたって
勘違いして落ち込んで
優しくしてくれた優斗しか
見えなくなってた…


私の心は、揺れていた…


優斗のプロポーズを受けたこと
後悔してたのかもしれない…


でも、聖斗の次の言葉を聞いて
私のいい加減で、中途半端な想いは
間違いなのだと
思い知らされることになる。


「理絵も出産が近づいて
神経質になってんだよ。
美羅にも辛く当たったりして
すまない…

アイツが壊したドールハウスは
俺が責任持って直すから
理絵のこと、許してやってくれ」


それは
妻を気遣う、夫の顔だった。


一瞬でも
聖斗に靡いた自分が情けなくて
つくづく未熟な自分に腹が立つ。


私は、なんて愚かなんだろう…


聖斗はもう
とっくに割り切ってるっていうのに…
私一人が
聖斗の態度や言葉に、一喜一憂して
聖斗と優斗の間を
行ったり来たり…

私も変わらなきゃダメだ…


だって…
私と聖斗は、それぞれ違う相手と
別々の道を歩き出したんだから…


そうだよね。
聖斗



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