ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

封印された愛 - 聖斗side -


=== 聖斗side ===


12月24日 クリスマス・イヴ


生花の香り漂うチャペル

今日は、美羅と兄貴の結婚式だ…

光沢の有るグレーのタキシードを着た兄貴の
ソワソワと落ち着きのない姿を横目に
俺は、何度もため息を漏らしていた。


とうとう、この日が来たんだな。


俺は、あの日のことを思い出してた。


京子さんに呼ばれ
真実を聞かされた
あの日を…


感情のまま
美羅を罵倒し、店を飛び出した俺


こんな精神状態で
家に帰れるワケも無く
誰も居ない公園のゴミ箱に
怒りの全てを込め
蹴りを入れること数回


冷たい北風に吹かれ
熱くなった頭が少し冷静さを取り戻した時
俺は猛烈に後悔し始めた。


また、美羅を泣かせた…


誰よりも幸せにしたいヤツなのに…
きっと、今まで美羅を一番泣かせたのは
間違いなく、俺だろうな…


美羅と兄妹じゃないことを告げられ
俺は正直、混乱した。


兄妹だと思ったから
俺は全てを捨てる覚悟で理絵と結婚したのに
今更、何言ってやがる!


それを知ってて黙ってた美羅が許せなかった。
俺の決断は、なんだったんだ!ってな。


そのことを
結婚前に聞かされてたら
俺は美羅を放すことはなかった。


何があっても
お前を放さなかったのに…


でも、よくよく考えれば
それを言えなくしたのは俺なんだ。


理絵と別れる為と
焦って家に上げ
美羅が居ることも知らず
いとも簡単に美羅との約束を破り
理絵を抱いた。
その姿を見たお前が
どんなに辛かったか…


ごめんな…美羅…


悪いのは俺なんだよな。


それなのに、俺は美羅を責め
悪態をつき
再びお前を傷つけた。


美羅の泣き顔が目に浮かび
居てもたっても居られなくなり
握りしめた拳が震える。


「美羅…」


俺の…美羅…


後悔の念が
俺の足を美羅たちの居る店へと向けさせたが
走り出したのと同時に
ある思いが、それを止めた…









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