ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「聖ちゃんが…瑠菜を引き取る?」

「あぁ」

「な、冗談でしょ?
それに、私は聖ちゃんとは別れるつもり無いから!」

「今すぐってことじゃねぇよ。
これから話し合っていこう
理絵に対しても、出来る限りのことはするつもりだから…」

「聖…ちゃん」


理絵さんのすがる様な瞳を見ても
聖斗は少しも怯むこと無く
淡々と話しを続ける。


「こうなったら、もう理絵とは一緒には暮らせねぇよ…
理絵が実家に帰ってもいいし
俺が実家に戻ってもいい
好きな方を選んでくれ」

「イヤ…私は、ここに居る…」

「そうか…じゃあ、俺がここを出る」

「聖ちゃん…イヤ…
そんなこと言わないで…
キャバクラのことは、謝るから
だから別れるなんて言わないで…」


すがり付く理絵さんを、ゆっくり押しやると
聖斗は立ち上がり
私を見た。


「美羅、兄貴が帰るまで待つって約束
守れなくて悪かった。
お前はどうする?
一緒に実家に帰るか?」


本当は、帰りたかった。
また、あの家で聖斗と暮らしたい…


そう思ったけど
泣きながら聖斗にすがる理絵さんを見てたら
どうしても"うん"とは、言えなかったんだ。


彼女だって、聖斗が好きなんだ。

好きな人に見向きもされず
下心があると知りながらも
他の男性に優しさを求めた理絵さんが
今は可哀想で、仕方がない。


「私は、ここに居るよ。
優斗が帰って来るかもしれないし…」

「そうか、分かった」


そして聖斗は、泣いてる理絵さんを立たせ
彼女の両肩に手を置くと
真剣な顔で話し出した。


「理絵、一つだけ言っておく
俺が居ない間
美羅に嫌がらせだけはするな。
美羅になんかしたら…
俺、何するか分かんねぇからな」


聖斗の目は
まるで氷の様に冷たく鋭かった。


まさか、こんな展開になるなんて…


聖斗も覚悟を決めたんだ
私も、もう前に進むしかない。


多くの人を不幸にするのは辛いけど
私たちの愛は
誰にも止められないんだ…


誰にも
止めることは…出来ないんだ…






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