ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

PM.5:00

街のイルミネーションが瞬き出し
どこからともなく聞こえてくる
ジングルベルの音楽


少し遅くなった俺は
美羅の待つ教会へと急いでいた。


ライトアップされた教会の横にある
大きなもみの木の下で
美羅は寒そうに身を屈め
俺を見つけると
嬉しそうに、はにかんで微笑む。


「遅いよ!聖斗」

「悪りぃ…寒かったろ?
とにかく中入るぞ」


美羅の冷えた手を握りしめ
重い扉を開けると
ハンドベルの演奏が始まるところだった。


入口近くの
一番後ろの席に座り
冷たくなった美羅の体を抱きしめる。


「ん…聖斗、暖かい」


華奢な体を俺に預け
甘える様に、俺コートを引っ張るお前が
この上なく愛おしい…


美羅の髪からほのかに香る
優しい香りに
俺の心は癒されていく…


教会に響きわたるハンドベルの音色に
少なからず感動してしまった…
こんなに美しいな音だとは思わなかった…


俺の腕の中で、うっとりと
その演奏に酔いしれていた美羅が
突然、顔を上げ
俺をマジマジと見つめる。


「なんだよ?」

「ねぇ、聖斗…
聖斗はサンタさんて、信じてる?」

「何言ってんだ…
俺をからかってんのか?
そんなの居る訳ねぇーだろ?」


あまりのバカバカしさに
呆れていると…


「私もね、パパとママが死んだ時
サンタさんは居ないって思った…

でもね、居たんだよ…」

「へぇ~、スゲぇな!
で、どこでサンタ見て、何貰ったんだ?

お前、寝ぼけてたんじゃねぇのか?」


面倒くさそうに
俺がそう言うと
美羅は驚くほど穏やかな目をして笑う。


「私のサンタさんはね…
今、ここに居る
聖斗だよ…」

「……?」

「私に、最高のプレゼントをくれたんだもん」


そう言った美羅が、俺の手を掴み
自分の腹に
そっと、俺の手を当てる。





~それは…
予期せぬ"プレゼント"

俺の人生最大のサプライズ


「まさか…」




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