ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

聖夜の天使



・・・


聖斗の答えに戸惑ってると
「美羅に似た女の子だけは嫌だ」
と、ぶっきらぼうに言う


「どうして?」

「男が出来たら、ソイツのこと
ボコボコにしそうだから…
美羅を取られる様な気がしてムカつく…」


聖斗の言葉に笑ってしまった。
父親って、そんな先のことまで考えるものなんだ…


私が産まれた時
パパも、そう思ってくれたのかな…


気付くとハンドベルの演奏が終わり
聖歌隊の合唱が始まっていた。


イヴの夜にふさわしい楽曲が流れ
最後の曲は『アヴェ・マリア』


澄んだ歌声が心に沁みる。


「ねぇ…聖斗、知ってる?
この歌はね、聖母マリア様が
イエス様を身ごもった時
大天使ガブリエルが受胎告知をしたって内容なんだよ」

「あぁ、その話しなら知ってるよ。
ガキの頃
薫叔母さんが教えてくれた」

「ママが?」

「そう…
美羅の家に泊まりにいった時
美羅と俺を寝かせるのに
添い寝しながら
薫叔母さんが子守唄代わりに歌ってくれて

中々、寝付けない俺に
歌詞の意味を話してくれたんだ」

「そうなんだ…
私、全然覚えてないや」

「当たり前だろ!
美羅はまだ、赤ん坊だったからな…

それで、その時
俺、薫叔母さんに聞いたことがあった」


懐かしそうに記憶をたどる聖斗を見上げ
尋ねる。


「何を聞いたの?」

「天使の声って、どんな声なんだって」

「天使の声か…
それ、私も知りたいな
ママはなんて?」

「薫叔母さんは…
俺が大きくなって、心から愛する人と結ばれ
その女性に俺の子供が出来た時
聞こえるはずだって言ってたよ」


…心から愛する人と結ばれ
その女性に子供が出来た時に
聞こえる…声…?









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