ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「もうそろそろ
お母さん帰ってくるんじゃない?」

「そうだな…」


終わった後の余韻が残る体を起こし
制服を引き寄せる。


立ち上がり
ブラウスのボタンを留めている時だった…


パタパタと足音が近づいてきたと思ったら
いきなり部屋のドアが開く


「淳君、誰か来てるの?」

「かあ…さん」


上杉君のお母さんは
ベットに裸で横になってる彼を見て
絶句してる。


そして、私に視線を移すと
唇を噛みしめ
ワナワナと震えだす。


私はボタンを留める手を
動かすことも出来ず
呆然と立ち尽くしていた。


「あなたたち…何してるの?」

「俺たち付き合ってんだ…」

「付き合って…る?
まだ、高校生なのよ!
こんなこと…」


平然としている上杉君。

でもお母さんは
怒りを押さえ切れない様子で
今度は私をキッと睨み
声を荒げる。


「あなた!自分がしてること分かってるの?
男の家に上がりこんで
こんなふしだらなこと…
名前を言いなさい!!」


お母さんの迫力に
声が出ない…


「名前は?」

「あっ…江川…美羅です」


やっと搾り出した声は
泣き声に近かった…


「江川美羅?
あなたの親は、娘がこんなことしてるって
知ってるのかしら?」

「うっせぇーよ!!
出てけよ!!」


上杉君が怒鳴っても
お母さんは、私から目を逸らそうとしない。


「親は…居ません」

「居ない?」

「私が6歳の時に
2人とも亡くなりました…」

「そう…なるほどね…
だから、こんな恥ずかしいことも平気で…
淳君は大切な一人息子なの
誘惑しないでほしいわ」


誘惑…?




< 68 / 379 >

この作品をシェア

pagetop