ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
自分の名前を呼ばれたような気がして
車道に視線を向けた。
見覚えのあるシルバーメタルのミニバン
「せい…と?」
ハザードランプを点滅させた車から
聖斗が駆け出してくる。
「バカ!何やってんだよ!
ずぶ濡れじゃないか。
早く車に乗れ」
「いいの…歩いて…帰る」
寒さに震える唇
上手く喋れない…
「風邪引いたらどうする?
いいから、こい!」
聖斗は私を無理やり
車の助手席に押し込んだ。
「傘持ってなかったのか?」
「うん…」
「なら、バス停の前のコンビニで
買えばいいだろ。
頭使えよ!
まったく、お前は…」
「聖斗も濡れちゃったね…
それに、シートも…ごめん」
「そんなの気にするな」
聖斗と、まともに会話したのは
数ヶ月ぶりだった。
車の暖房を全開にして
走り出す車
「大学は?」
「今日の講義は午前中で終わった…
お袋が友達とメシ食いに行くから
駅まで送ってけってさ…
今、その帰り」
「そう言えば
朝、そんなこと言ってたな…
帰りは遅くなるって」
普通に話してるようでも
お互い前を向き
決して視線を合わせることはない私と聖斗。
家に着き
バスルームに直行する。
「濡れてた服脱げ
これ、体に掛けてろ。
今、風呂の湯入れてやるから」
聖斗は私にタオルケットを手渡すと
脱衣所にファンヒーターを持ちこみ
浴室に入って行く。
その間に私は
雨水を吸い込み
重くなった制服を脱ぎ
タオルケットを体に巻きつけた。
今日の聖斗は
凄く優しい…
どうしたんだろう…