†Bloody Cross†
あたしを探していたのは大体分かっていたけど……
「あたしに何か用?表の仕事しかしない冠咲家のヴァンパイアが、わざわざ自ら手を汚しにくるなんて、よっぽどの用なんでしょう??」
余裕の笑みを浮かべる永遠に、あたしも挑発的な言葉を返す。
「なんだと?!!喧嘩うってんのか??」
「喧嘩をうりにきたのは永遠達のほうじゃないの?」
簡単に頭に血をのぼらせあたしを睨み付ける永遠に、あたしはほほえみ返した。
表仕事しかしたことのないヴァンパイアは頭に血が上りやすくて、困るわね……。
冷静なんて言葉は微塵も頭にないし、話し合いなんてできるのかしら……??
あたしは別に話し合いでなくとも構わないけど。
吸血鬼に限らず、様々な種族から結構な恨みをかっているから……今回永遠が来た目的もわからなくもない。
表の一族が絡んでくるのだから、あたしを殺しに来たわけでは無いのだろう。
まあ……何をしに来ようとすべては無駄なこと。
すべての種族……主に吸血鬼と人狼にとって人間は獲物、いわば餌でしかない。
そしてあたし達、魔術族の使命は……
すべての者達から、人間を影で護り続けること――――……