†Bloody Cross†
「……永遠、用が無いのなら今すぐここから立ち去ってもらえる?貴方に構っていられるほどあたしは暇じゃないのよ??」
中々口を開こうとしない永遠に、早急に話をさせるためにも永遠をまくしたてる。
意図的な呟きの中に、本音のため息が口からこぼれおちた。
「もう、魔術族に……蒼に俺の一族の吸血鬼を殺させないために来た」
「どうやって??」
「は……??」
間髪入れずに聞き返せば、永遠は間の抜けた声を洩らした。
「だから、どうやってあたしが吸血鬼を殺すのを阻止するつもりなのか聞いてるの。まさか無計画なわけではないのでしょう??」
「ッ……そりゃ、な」
「ふぅん……」
永遠の自信なさげな呟きに確かな計画が無いことを悟ったあたしは、永遠の首筋に突き付けていた剣を消す。
剣が握られていた右手は、今や空を掴むだけになる。
「それはどんな策かしら?力でねじ伏せる??それともやっぱり、表の一族らしく協定でも結ぶ??」
「ッ……!!さっきからなんなんだよ?!表だ裏だって、馬鹿にしたように!!」
激昂した永遠の叫びを聞くのは、冷静な魔術族の王女。
悔しそうに歪む永遠の顔を見つめるのは冷酷な蒼い瞳。
「何も知らないくせに喚かないでくれないかしら。耳障りよ……」
――――呟くは人間の守護族である、残酷な銀色の悪魔……