恋人はトップアイドル
突然理事長室に呼ばれて、

「君が今日から生徒会長だ。」

と、もはや有無を言わせない口調で通達された日を、よく覚えている。

そして生徒会副会長、書記、会計、文化部委員長、体育部委員長など、学年の成績順に決まっていく。

学年2位の健人は、生徒会副会長。学年3位の百合は書記だ。

推薦を貰いたくて生徒会長を狙ってる人がいるみたいだけど、実際やっている私からしたらこんなに頭の痛くなる面倒くさい仕事なんかやりたくない。

推薦貰えるのは嬉しいけれど、その代わりこうして高校時代の青春を捧げる羽目になったのは事実だ。

その証拠に、試験最終日で生徒たちは意気揚々と帰っていったのに、私たち生徒会のトップ3人はこうして放課後も学校に縫い付けられている。


「はぁ、みんなは今頃カラオケとか映画とかショッピングとか楽しんでるんだろうなぁ。」

「まぁ仕方ないわねぇ。」

私のため息に、百合もため息をつきながら返した。

「でもとりあえず、会議の概要は決まったろ?」

健人が私に問い掛ける。

「てゆうか会議の概要も私たちが決めるのってどうなのよ・・。」

「うちの学校の先生に期待する方が間違ってるわよ。」

「勉強がオトモダチみたいなやつばっかだからな。」

誰もいないのをいいことに、私たちは言いたい放題だ。

まぁこれくらいしなきゃやってられないってこと。

「でももう、体育祭の時期なんだね。」

私は窓の外を眺めながら、ポツリと呟いた。

「あー、早いな。」

「高校時代の最後の体育祭だなんてね。」

健人と百合がそう答える。

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