恋人はトップアイドル
百合はこの学校では一番の美人だし、健人は外見がかっこいいのもあるけれど、サッカー部のキャプテンを勤めていて、しかも学年2位ときた文武両道を地で行く男。

だから二人は、この学校では有名人だ。


「しっかし会長になるだけで推薦もらえるんなら、俺も会長目指せば良かったな。」

「健人じゃ無理よ。優美頭いいもの。勝てない勝てない。」


何気ない褒め言葉に頬がゆるむ。

「あー優美は勉強しか取り柄ねえしな。」

「ちょっとそれどういう意味?」

健人はいつも一言余計だ。


「冗談だよ、冗談。」

「そういえば優美、会長になれたら推薦決まるって知ってたの?」

百合の唐突な質問に、私は首をふった。

「知らないよ。てか、なりたくてなったんじゃないし。」

「ああ、確かに、ちょっとうちの学校変だよね。」

私の苦笑に、百合も苦笑する。

そう、私は一応この進学校の一番上に立つ生徒会長という役職に就いている。

しかしこれは、自分で望んでなったわけではない。

ただでさえ、この進学校の生徒たちを行事のたび一つにまとめたり、行事の企画構成、それ以外の雑務、予算編成などなど、会長の仕事は大変だから、なりたがる人などまずいない。

そして私たちの学校は、生徒会役員たちが、約1年半役職に就く。それも嫌がられる理由のひとつだ。

そこで取られた方法が、学年の成績順位によって、理事長側が生徒会役員たちを選出するというもの。

幸か不幸か、学年1位をキープしていた私は、約1年前見事に生徒会長に選出された。


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