恋人はトップアイドル
次のポジションが見えてきた。薄暗いそこに、優美以外の誰かの姿は見えない。

「優美!」

衣装のチェックをしているのか、優美は俺の次着る衣装をくまなく見ていた。

逸る思いで、名前を呼んだ。ビクッと揺れた肩が、どうしようもなく愛しい。

優美が振り向いた。


「輝?早いね、あれ、堂本さ・・・」


堂本さんは?って聞こうとしたんだろう。

でももう、抑えられなかった。
顔を見たら、もうダメだ。

だってずっと、我慢してたんだ。


抱きしめたかったんだ、お前のこと。
ずっと、ずっと。


「あ、輝・・・?」

腕の中にある、優美の確かな温もり。それが身じろいで、優美の戸惑う声がした。


「・・まだ、動くなよ。もう少し、抱きしめてたいんだ。・・お前のこと。」

恥ずかしげもなくそう言って、また腕の力を強めた。

すると優美は、戸惑いながらも、大人しくなり、俺の胸に怖ず怖ずと顔を寄せた。

その行為が、俺の腕にすっぽりとハマる、優美の小さな温もりが、今までにない喜びを俺にもたらす。


こんな気持ちは、やっぱり初めてだ。


「・・・優美、あとで、話があるから。」

「え・・・?」


もう、我慢できねえよ。


早くお前を、俺だけのものにしたい。



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