恋人はトップアイドル
「絶対に渡さない。」 SIDE ユキ
「・・・よろしく。」
初めて、あなたと出会った日のことを、まだ覚えてる。
確実なレール、人受けの良い演技、その努力が実って、私はトップ女優になった。
業界の誰もが、私の味方だった。
名前を聞いた時は、無名の新人アイドルなんて、と思ったの。
なのに、初めての顔合わせ。
圧倒的な存在感。顔立ちの良さ。そして、冷たい瞳。
トップに立つべくしてこの業界にやってくる人間は、本当にいるんだ。
初めて、そう思った。
「よろしくね。」
背後から、そう声をかけた。
振り向いたあなた。
その瞳が私を映した時、
私は完全に恋に落ちていた。