恋人はトップアイドル

警告と嫉妬と計画 SIDE 輝

「じゃあ今日はここまで!各自ホテル戻って、明日に備えて身体を休めてください!」

スタッフリーダーの一声で、リハーサルが終わった。
滴る汗を着ていたTシャツで拭う。

明日からの大阪公演。そのためのリハーサルを、俺たちは今日一日をかけてやっていた。
東京の時とステージは全く同じだけれど、ドームの機材の使い勝手は少し違うし、集客人数は同じだが、席の配置も違う。

そのため、花道の位置が微妙に違ったりもした。

昨日の夜遅く映画の撮影を終えて、公演中に泊まるホテルへと到着した。

さすがと言うべきか。

既にホテルの入口辺りは何人かのファンに封鎖されていて、俺は裏口から入った。
一応それなりの一流ホテルに泊まっているから、ファンは中までは入ってこれない。

それでも、既に目星をつけているファンに、少しだけゾッとした。


普段の俺を見て、一体なにがしたいんだよ。


そして今日。


全国ツアーが始まってから、それなりに注目度が高まっているせいか、個人の仕事が増えてきている。最近は4人全員が長時間一緒に仕事をするというパターンは、ほぼない。だから、今回1日4人でリハーサルに当たれたのは奇跡だった。

スタッフの中には、もちろん優美の姿もあった。

色々と話したいことはあったが、他のスタッフの目もある。
なんとか我慢した。


だけど俺は考えていた。

マスコミも、ファンも入ってこれないホテル。ある意味、一番安全な場所。

優美を俺の部屋へ、どうやって呼び出すか。


今から楽しみで、仕方がなかった。


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