恋人はトップアイドル
ユキの告白 SIDE 輝
「・・・やっぱり無理か・・。」
俺は手帳を見て、ため息混じりにそう呟いた。
事務所から貰った、今年度の仕事用のスケジュール手帳。普通の手帳とは違って、1日の欄に時間ごとに細かく書き込めるようになっているそれ。なのにもう、4月の欄はびっしりと文字で埋まっていた。
ツアー中休んでいた単発の仕事に、広告の仕事、雑誌の仕事、映画の撮影、そしてもちろんRとしての仕事、全て合わせると、休む暇なんかどこにもなかった。
4月10日。
仕事用のスケジュール手帳しか持っていない俺は、その日付の横に、ばれないように、「YHB」と記しておいた。
つまり、優美の誕生日だ。
マネージャーに休めるかどうかを一応頼んでみたが、答えはあっさりと「却下。」だった。
ふざけんな!と思ったが、今の仕事量を考えると、それもそうだよなと納得してしまう自分がいる。
それでも。
やっぱり、初めて出来た大切な女の誕生日は、一緒に過ごしたかった。
「・・仕方ねえ、か・・。」
こんな時、こうゆう仕事をしている自分を恨めしく思う。
「なにが仕方ないのー?」
その時、唐突にすぐ側から声がした。ユキだ。
俺は反射的に手帳を閉じた。
「なんでもねえよ。」
「・・なーんか怪しいなあ。」
「なんでもねえっつってんだろ。」
「ふーん。」
俺たちは今、映画の撮影中だった。今業界で一番忙しい女優であるユキと、俺が揃う機会は滅多にない。だから今日から3日間の間に、撮れていない2人のシーンを全て撮り終える予定になっていた。
「何だか輝に会うのすっごい久しぶりな気がする。」
ユキは、俺の隣に用意された専用の簡易なイスに座って、そう言った。
「そうでもないだろ。」
目の前で忙しく動き回る美術スタッフを見ながら、そっけなく答える。
俺は手帳を見て、ため息混じりにそう呟いた。
事務所から貰った、今年度の仕事用のスケジュール手帳。普通の手帳とは違って、1日の欄に時間ごとに細かく書き込めるようになっているそれ。なのにもう、4月の欄はびっしりと文字で埋まっていた。
ツアー中休んでいた単発の仕事に、広告の仕事、雑誌の仕事、映画の撮影、そしてもちろんRとしての仕事、全て合わせると、休む暇なんかどこにもなかった。
4月10日。
仕事用のスケジュール手帳しか持っていない俺は、その日付の横に、ばれないように、「YHB」と記しておいた。
つまり、優美の誕生日だ。
マネージャーに休めるかどうかを一応頼んでみたが、答えはあっさりと「却下。」だった。
ふざけんな!と思ったが、今の仕事量を考えると、それもそうだよなと納得してしまう自分がいる。
それでも。
やっぱり、初めて出来た大切な女の誕生日は、一緒に過ごしたかった。
「・・仕方ねえ、か・・。」
こんな時、こうゆう仕事をしている自分を恨めしく思う。
「なにが仕方ないのー?」
その時、唐突にすぐ側から声がした。ユキだ。
俺は反射的に手帳を閉じた。
「なんでもねえよ。」
「・・なーんか怪しいなあ。」
「なんでもねえっつってんだろ。」
「ふーん。」
俺たちは今、映画の撮影中だった。今業界で一番忙しい女優であるユキと、俺が揃う機会は滅多にない。だから今日から3日間の間に、撮れていない2人のシーンを全て撮り終える予定になっていた。
「何だか輝に会うのすっごい久しぶりな気がする。」
ユキは、俺の隣に用意された専用の簡易なイスに座って、そう言った。
「そうでもないだろ。」
目の前で忙しく動き回る美術スタッフを見ながら、そっけなく答える。