恋人はトップアイドル

はじめての朝 SIDE 輝

「ん・・・。」

自然に、目が覚めた。
見慣れない天井に、顔をしかめる。
腕の重さに、隣をみた。
その瞬間、なんともいえない幸福感が胸を襲う。


「優美・・・。」


俺の腕の中で、あどけない顔で眠る優美の姿が、そこにはあった。

無理、させたんだと思う。
本当に、ここまでするつもりは・・・なかったんだ。いや、少しはあったか。

でも、断られると思ってた。絶対。

なのに──。


優美を抱いて、今までどっかにあった不安が、なくなった。
気持ちは通じ合ったと、信じてる。

幸せだった。とにかく、幸せだった。


それに・・・、好きな女とスるのって、あんなに気持ちいいんだって、初めて知った。

病み付きになりそうだ。


「もう手放せねえな・・マジで。」

優美の頬を、撫でる。
ずっとこうしていたいけど・・、あいにく、今日も仕事がある。

今、何時だ?

時計ねーかな・・・。と探すと、勉強机の上にあるデジタル時計が目に入った。

まだ5時か・・。

ホッと胸を撫で下ろす。
今日はスタジオに10時入りだ。それまではゆっくりできる。

しかし・・、勉強机の本棚には、進学校の生徒らしく、所狭しと問題集が並べてあった。机の上にも、何か本が積んである。

やっぱり、頑張ってんだな・・。

尊敬する。

俺には、勉強はもはや程遠い。昔から勉強自体好きでもなかった。

真面目で、努力家で、心が温かくて、誠実。
だから、惹かれるんだろう。


そういや優美は今、一人暮らしらしい。こんな広い家に・・。平気そうな顔をしてはいたけど、多分寂しいはずだ。

一緒に住めたらいいのに・・・。

そしたら絶対、寂しい思いなんかさせねえ。
全力で、愛して、大事にするのに。


でも無理か・・・。
こういう時は、自分の立場が恨めしくなる。


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