恋人はトップアイドル
「ええ、どうぞ。あ、お食事は?」

「そうだな、軽いもんで頼むよ。」

「わかりました。すぐお持ちします。」

まだ戸惑っている優美の手を引いて、俺は昔から馴染みの奥の部屋へと向かった。


奥の間。完全個室になっているその襖を開けると、中には広い座敷と低い机に座布団が2枚。
壁には50インチのプラズマテレビと、掛け軸、そして季節の花が添えられ、窓の向こうには露天風呂と庭、机が置いてある場所から左の部屋には布団が敷いてあり、その奥にはトイレ、キッチン、露天風呂とは別の簡易な風呂がついている。


まあ、旅館と言えど、個室になっているから、少し豪華なマンションとでもいうような感じか。

「な、何、これ・・。」

優美はこういう場所は初めてなのか、相当驚いている。

「とりあえず座れよ。疲れただろ?」

座布団の上に、優美を座らせ、その隣に自分も腰を下ろした。

机の上に置いてあるポットからお湯を出し、お茶をいれる。


「どう、して・・?ドライブなんじゃなかったの?輝、最初から、このつもりだったの?」

すると、優美が声を上げた。最後の方は、少し非難がかったものだった。

「・・ああ、まあな。」

いつかは、連れてくるつもりでいた。今日になったのは予定外だったが、説明するのはややこしいから省いて、そう答えた。

「あたし・・、帰りたい。」

「は?」

「やらなきゃいけないことがあるの!」

優美が声を荒げた。涙混じりだ。

「健人から聞いたんでしょ?今日のこと。あたしの・・あたしの、失態。健人は多分・・、輝たちのせいにしたんだろうけど、あれは、紛れもなくあたしのせいなの。」

とうとう、優美が話し出した。怒りでタガが外れたのか。

どっちにしろ、本音を聞き出すチャンスだ。


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