恋人はトップアイドル
祈るように、無意識に手を握りしめる。

「親友だからこそ、頼みたいの。当たってからも、生徒会をないがしろにするつもりないから。」

『そんなのわかんねーだろ。お前、責任あるなら、生徒会優先すべきだろーが。』

健人の厳しい言葉に、私は返す言葉もない。

「でも私はコンサートスタッフだから。コンサートがあるのは、春と夏の間だけなの。うちの学校は、春休みと夏休みでちょうどまるかぶりしてるから、そこは心配ないの。」

『・・なるほど。』

少しだけ、健人の声色が変わった。

「だから、学校がある間はきちんとできるし。」

確信はないけど。

決めたら、突っ走る。
それが私の良さだから。

もう、止まれない。

『・・わかったよ。優美の言い分もわかんなくねーしな・・。』

健人が、渋々といった感じで了承してくれた。

「ありがとう!」

私は嬉しくて、心からお礼を言う。

やっぱり健人はいい親友だ。

『でもお前、大変だぞ?』

「うん。いいの。高校生活で、最高の思い出作るから!」

『ふ。お前本当、ポジション思考だな。』

「まーね。」

『ただ、先公たちにバレないようにしろよ。バレたら多分・・。』

「わかってるから、健人。」


健人の固い声を遮った。
バレたら多分・・、推薦取消じゃすまないな。

それだけのネームバリューを、私の学校は持っている。そして私は、それを背負って立っているんだ。

『まぁ、優美ならやれるかもな。』

健人の優しい言葉が嬉しくて、笑った。


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