恋人はトップアイドル

合否の結果は

そして、とうとう合否がわかる日がやってきた。
高校受験の時よりも、私は緊張していた。今までの人生で味わったことのない、緊張感だった。

何人くらいの応募があったのか、何人くらいがスタッフになれるのか、私たちファンは何も知らない。それは、スタッフに合格しなきゃわからない、未知の世界なんだろう。


生徒会の会議を終えて、私は百合と健人と3人で家に帰っていた。

百合にもこのことはすぐに言った。百合は二つ返事で了承してくれた。

もしスタッフになれたら、生徒会の会議との兼ね合いをどうしていくかも決めなきゃならない。学校がある内はコンサート自体がないし、夏休みにはもう役職を引き継いでいるから、支障がないとして、問題はこれからすぐやってくる春休みだ。


春休み中に、生徒会会議は3回行われる。そのうちの2回が、コンサートと被っている。

それにコンサートがない日は仕事がない、とも言い切れないはず。

そういう部分は、まだ全然想像もつかない。
でもやると決めた以上は、やらなくちゃ。


やっぱり私は、不安感や焦燥感よりも、圧倒的な期待感に胸を膨らませていた。


「やっぱり大きいよね~・・、優美の家。」

玄関前に着いて、百合が家を見上げてため息をついた。

いやいや、何を言ってるの。

「百合ん家だって十分おっきいじゃん。」

「えーでも、あの家古いからさー。私はこうゆう洋風の大きい家に住むのが憧れなの。」

「茶道の次期家元なのに?」

私の言葉に、百合はうっと詰まった。

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