恋人はトップアイドル
救われた。
やり甲斐だってある。

確かだ。

でも、どんどん見失っていく。

何のために、
誰のために、

あたしはここに立っているのか。


会長だからというだけで、なぜこんなに、注目を浴びるのか。
1位をとらなきゃ許されないのか。
特別扱いをされなきゃならないのか。


わからない。
わからない。
わからない。

でも、

やるしかない。
引き返せない。


あともう少し。
あともう少し。


そうやってごまかして、あたしは会長としての学校生活を、やり過ごしてきた。

だけど、終わってしまったら?
会長を引き継いだら、
あたしは何をする?


今度は何のために、
がんばればいい?


足がぐらつく。

「生徒会長」という肩書きが、あたしの肩に重くのしかかって、立っていられない。

これが外れたら、
今度は軽すぎて、バランスがとれなくなりそうで。


それでも、
この立場を守りたい。

怖いんだ。

会長でなくなった自分に、
一体何が残るのか。

与えられてばかりな自分が、
これから先何を選べるのか。


不安と、矛盾と。
未来への期待と、恐怖。



ああ、こんなに、
がんじがらめになってたんだ。









輝に全部話すと、色んなことがすっきりしていった。輝はずっと、あたしの肩を離さないでいてくれた。

「会長としてやらなきゃいけないことに、矛盾を感じてる自分もいるのに・・、でも実際、テストの結果を見たら怖かったの。なんて言われるのか・・、怖くて、仕方なかった。」

今日、あの結果発表を見たとき、血の気が引くのを感じた。足元から、何かが崩れていく感覚。

とうとうやってしまった。

そんな気持ちと、

ボロが出てすっきりした。

という気持ちと。


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