恋人はトップアイドル
「んー・・、別に。」

紅茶を一口すする。

随分前から、この広い家に一人で住んでいるようなものだった。最初はそりゃあ寂しかった。でも今となっては、もうこれが、私にとって普通になってしまっている。

「慣れたかな。」

それ以外の的確な答えはなかった。

「おばさん知ってんの?お前が応募したの。」

「あー、言ってない。」

「え、言ったほうがいいよ!」

私の答えに百合が驚いたように抗議した。

「んー、だってまだ合否わかんないし。わかったら言うよ。」

絶対、かはわからないけど。

「じゃ、見てみる?届いてんだろ、封筒。」

健人がいいタイミングでそれを促した。

そう応募者には今日、合格にしろ不合格にしろ、封筒が届くはずだった。中に結果が入っている。

私はさっき取った郵便物を一つ一つ確かめていった。

すると一枚、赤い封筒が出てきた。宛名は・・私。差出人は・・Rの事務所になっていた。

「それ・・?」

百合が小さく聞いてくる。
私は頷いた。

緊張で、手が若干震えてる。

ピリピリと、破かないように、慎重に封を開けていった。

中に白い紙が2枚入っている。

「見るよ。」

二人に言った。静かに頷いてくれる。

ゆっくりと、三つ折りのそれを開いた。

ドクン、と、自分の心臓の音が、聞こえた気がした。


「ど、どうなのっ?」

百合が耐えられずに、私に結果を促す。

でも私は、応えられなかった。
その文字を見たまま・・、固まってしまったのだ。


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