恋人はトップアイドル
そう言ったのと同時に、黙ってレフ板の方を見つめていたスタッフたちが慌ただしく動き出す。

すると、2枚のレフ板に隠されていた、この場の中心の人物たちが、姿を現した。


Rだ!!!


初めて見る、4人の生の姿。
思わず叫びそうになった口を、両手で抑える。

4人とも、スタッフから何か水みたいなのを貰っている。

みんな、ただ者じゃないオーラだ。

すごい、本物だ・・!!


悠に、優太に、隼人に、輝。


みんなして、パソコンの画面を見つめている。

顔は見えないけれど、後ろ姿だけで、私はもう満足だった。


心臓が驚くほど、バクバク鳴っている。
多分、すごい興奮しているんだろう。


Rと同じ場所にいる。同じ空気を吸っている。


後ろ姿しか見えない輝が、少しでも動くたびに、ドキドキする。


ここに来るまで、信じられない気持ちが多少あったけど、やっと実感が湧いてきた。


私は、本当に、輝たちを支えることが出来るんだ。


その実感が、胸の中を満たす。興奮の渦と、喜びの渦、そしてただならぬ緊張感、全部がないまぜになって、私はただただ、ギュッと鞄のヒモを握りしめた。


「あれ?君、こんなとこで何やってんの?」


すると、いきなり後ろから声をかけられた。
驚きすぎて、大袈裟に肩を揺らしてしまった。

ちゃんと理由があるのに、悪戯でも見つかったみたいに、なぜかバツが悪い。

振り向くと、スーツを着た、普通の20代後半くらいの男性が立っていた。



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