恋人はトップアイドル
「あ、の・・、これっ・・。」

男性の視線が、何故か私を睨んでいるように見えて、私は何も言えないままに、スタッフ証を差し出した。

合格通知の封筒の中に同封されていたものだ。
これを持って、この時間に、ここに来るようにと書いてあった。


「ああ、君か。受かった子ね。じゃあ、こっち来て。」

「あ、はい。」


それを見ると、その男性は少し柔らかい表情になった。
スタスタと歩いていく男性を、小走りで追いかける。

他のスタッフさんたちが、物珍しそうに自分を見ているのがわかった。こういう視線は、あまり好きじゃない。


男性は私の気持ちなどそっちのけで、Rの方に近付いていく。

ま、まさか・・!しょ、紹介とかされるの!?もう!?

いやでも待って!まだ心の準備が!!


と、一人で泣き出しそうになっていたけど、男性はRの後ろを歩いていくだけだった。


な、なぁんだ。


少しだけホッとしつつ、急いで後を追う。あっちのドアからだと見えなかったけれど、結構横行きがあった。

さっきの位置からはレフ板がちょうど広げられている部分までしか見えなかったけれど、レフ板の左横にも相当横行きがあったらしい。そしてそちら側にも一つドアがあった。


会議で使われているような長い机が置かれていて、そこに一人の女性と、上座には初老くらいの男性が座っていた。そして20代くらいの男性が3人、その女性の前に座っている。


「社長、この子がもう一人の子です。」


私を連れて来てくれた男性が、初老の男性にそう声をかけた。

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