恋人はトップアイドル
すると、私たちの目の前の椅子に座っていた、4人の男性たちの内の一人が立ち上がった。

「社長、輝もうそろそろ・・。」

「ああそうか。」

その男性が、社長に声をかける。

「輝、次の仕事だ。行っていいぞ。」

「ああ。わかった。」

どこかけだるそうにしていた輝は、社長からそう言われると、早々とその場を去っていった。


・・全然、話せなかったな。


輝の後ろ姿が、小さくなっていく。テレビで見ていた時より、もっと距離を感じた。というより、イメージよりもっと無愛想かもしれない。

なんだか、頑なな感じがした。

「彼は、関口。Rのチーフマネージャーで、輝の単体の仕事を任せている。」

社長が、男性のことをそう説明してくれた。
男性は、20代後半て感じの、見た目はエリート的な雰囲気を持った人だ。眼鏡をかけていて、これまた無愛想な感じが怖い。

「では社長、私も失礼します。」

そう言って、関口さんも輝の去った方へ歩いていった。

やっぱり、輝は忙しいんだな・・。

「それじゃあ、今日はここまでだ。他のメンバーは、単体の写真がまだ残ってるな?」

「ああ。」

隼人が答えた。

「撮影に戻っていいぞ。」

社長は彼らにそう言うと、私たちに向き直った。

「明日から、ツアーリハーサルが始まる。これがリハーサルの詳細だ。」

そう言って渡された紙には、リハーサル(コンサート)の内容や会場のセットの細かい説明が、びっしりとワープロで書いてあった。

「明日はここに来てくれ。仕事はやりながら覚えていってもらう。」







こんな感じで、私の通しスタッフとしての日々は、幕を開けた。





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