恋人はトップアイドル
「やるからには、きちんとやる。だって、犠牲にしたものもあるし。生徒会だって。だからその分、きちんとここで得られるものは得てくつもり。
伊達に生徒会長やってないもの。気合いなら十分、根性だって十分。あとは、やるしかないでしょ?」

・・・なんなんだ、この女。

少しだけ覗いて見た女の表情(かお)が、期待と自信に満ちていた。
変なギャグ言ってみたり、喚いてみたり、消極的になってみたり、よくわかんねえ女。
でも、今あいつが言った言葉、嫌いじゃない。


何だか少しだけ、本当に少しだけ、期待してみたくなった。

俺が知っちまったことは、もう少しだけ秘密にしとくか。


「あっ!やばい、もう戻らなきゃっ。じゃあ、健人、予算案組み直しよろしく!」


慌ただしく携帯を切ったかと思うと、笹本は「やばいっ」と言いながら走り去っていった。


その後ろ姿が、少しだけ綺麗に見えた。


変な女。だけど・・・面白えかも。




多分俺は、自分の表情(かお)が無意識にニヤついてたことなんて、きっと知らなかった。


だけど、自分の中のワクワクした気持ちには、きっと無意識に気付いてた。




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