恋人はトップアイドル
輝は、もたつくあたしに対して、すぐ怒鳴る。あたし自身、出来ていないから反論はできない。

輝がどれくらいこのツアーに思いをかけているか、リハーサルへの取り組みを見ればわかる。

だけどなかなか、頭がついていかない。

やっぱり悲しいし、情けないし、自分だって頑張ってるのに、と思う。

昼は学校に行って、相変わらず生徒会だし、夜はこれで、頭も体もへとへと状態。

でもそんなこと言えるはずないから、謝るしかない。

「ごめんなさい!次はきちんとやるからっ。」

「気合い入れろよ。お前にも、このコンサートの出来はかかってんだからな。」

初心者だから、といって甘えや妥協は許されない。
ここにきて痛いほど思い知った。

わかりません、じゃ済まされない。
とにかく、頑張らなきゃ・・!

疲れた身体にムチを打って、走り抜ける。輝と一緒に。大勢のスタッフと一緒に。

リハーサルの途中で思いがけずセットが壊れたり、音響がおかしくなったりもする。アクシデントは尽きない。それがまた、疲れを増幅させる。



とりあえず何とかやりきったリハーサルの前半は終わった。休憩を挟んで、後半になる。

それぞれお弁当をもらって、客席に座った。少しでも身体が休まるように、足を前のイスに伸ばす。

だけどやらなきゃならないことは、溜まってる。

スタッフに手渡されているステージ構成リストを、また見直す。何度も見ているから、もうボロボロ。

これはもう覚えているけど、身体にしみついていない辺り、まだ足りない気がする。


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