恋人はトップアイドル
こんな感動の中で、まさかの本音!?

輝のほうがよっぽど読めないよ・・。

「でも、なんか必死で頑張ってっから。
まぁ仕事出来てるか出来てねーかで言ったら、出来てねーけど。」

またまた輝さまの冷たい本音。
なんだよもー・・・。おかげさまで涙止まりましたけど。


「でも、悪くはない。」

ふと、頭にふわっとあったかい感触が広がった。
顔を上げると、輝が、滅多に見せないのに、優しく笑っていた。


「俺、女を名前で呼ぶの嫌いなんだ。でも、お前は認めてる。期待してっから、ちゃんとやれ。・・・お前なら出来んだろ?」


正直なトコ、こう聞かれた時、不安のほうが大きかった。
出来るか出来ないか、なんて、出来ない確率のほうが、断然高くて。

でも、輝が滅多に見せない笑顔だから。優しい声だから。


「・・・やってみる。」


そう、答えてしまったんだ。


「うし、じゃあ後半も扱くからな。ついてこいよ。
つか、さっさと飯食おうぜ。」

そしたら輝は、一瞬だけ、本当に一瞬だけ、満足そうに笑ってくれた。


「うん!」

嬉しくなって、あたしはそのあと、急いでご飯を食べたんだ。




そのあと、リハーサルは再開された。輝は休憩が終わるまで、ずっとあたしの隣にいてくれた。何故かはわからない。気まぐれかもしれない。

でも、輝は本当は、優しい人だって、あたしの読みは間違ってなかったって、少しだけわかった気がして、妙に嬉しかった。


多分、この時からだったかもしれない。

あたしが、アイドルとファンという垣根を越えて、


輝に惹かれはじめたのは--------------。





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