迷宮の魂
ルカは相変わらず男に身体を売る仕事をしていた。だが、日を追う毎に以前とは違う苦痛が生じて来た。
彼は仕事の事に関しては、一切口を挟まないが、一度、体調が悪くて事務所に電話をしたら、
「辛い事は我慢する事ないんだ」
と、暗に仕事を辞めたらどうだというような言い方をした。
彼が自分の事を気に掛けてくれていると判り、益々彼への想いが募っていった。
そして、同時に言いようの無い不安感も抱くようになっていた。
この男とは仮の繋がり……
決して未来永劫迄繋がり続けて行ける相手ではない……
程々の所で自分の気持ちに扉を降ろしておかなければならない……
その事を頭では理解しているつもりのルカだったが、そんな理屈では割り切れない感情が、既に心の中を埋め尽くしていた。