[短編]アスタラビスタ

「ハルちゃん!」



名前を呼ばれてハッとすると、私達の元に涼の両親が戻って来てくれたところだった。



「ハルちゃん…」


「……」



聞くのが怖かった。
現実を知るのが怖くて視線をそらせた。



「涼、助かったのよ!
重傷だけど命に別状はないって!!」


「……ほんとですか?!」


「えぇ、本当よ!今は眠っているけど、明日には会えるって」


涼のお母さんは、パッと晴れたような笑顔だった。



「…よかったぁ…」



体中の力が抜けて、ヘナヘナとしゃがみ込んだ私。

< 24 / 33 >

この作品をシェア

pagetop