[短編]アスタラビスタ
ここにいた四人共、最悪の事態を想像していた。


怖くてハッキリと言葉には出せなかったけど、事故の状況からそうなってもおかしくなかった。



「良かった…ほんとに良かった」



安心と不安と、説明できない思いがぐちゃぐちゃに入り混じって、それが涙となって表れた。



涼のお母さんも安堵の涙を浮かべていた。



「ハル、一度帰ろうか。また明日送ってやるから」


「うん、お父さん」



和也も心配して待ってるだろう。もう空が明るくなって来ている。



「七瀬さん、ハルちゃんも来てくれてありがとう」



涼の両親は出口まで見送ってくれた。二人はこの一晩で、とてもやつれて見えた。

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