雪がとけたら


「お兄ちゃん、一生懸命書いてたよ。お姉ちゃんに、言わなきゃいけないことがあるんだって…」

「書いて…?」


逡巡しながらも、あたしはゆっくりとメールボタンを押す。









…未送信メールが一通、あった。










速くなる心臓を抑えることもせず、送信画面を開く。











『悟子へ』














…件名を見た瞬間、心臓がドクンと跳ねた。









雪ちゃんからの、メッセージだ。











震える指で、メールを開く。









…そこにはびっしりと、雪ちゃんの打った文字が敷き詰められていた。



息をのみ、思わず携帯を抱き締める。








「…戸田さん」







西君が、あたしの肩に優しく手を置いた。


息苦しい程の心臓の高鳴りを抑える様に、あたしはゆっくりと呼吸をする。










「…読んでやって。中川の…最後のメッセージだよ」










…あたしは目を閉じた。


目を閉じて、雪ちゃんを探す。












ゆっくり目を開けた時には、もう視線は携帯の画面に向けられていた。







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