雪がとけたら




……………


今日は随分温かい。昨日の天気が嘘の様だ。

もう春は、すぐそこなのかもしれない。




「…そわそわしすぎ」

隣に座っている先輩があきれた様に呟いた。

「だって先輩!あたしずっとファンだったんですよ~、Satoko!まさか初めてのインタビューが彼女だなんて…もう昨日から眠れなくって!」

あたしとは正反対に落ち着いている先輩は、時計をチラッと見て言った。

「あたしは正直、あの子がデビューした頃はこんな女優になれるとは思ってなかったわ。初映画も降板しちゃうし…すぐに消えちゃうと思ってた」

思わず否定しようとしたあたしを遮り、「でも」と先輩は続ける。

「違ったみたいね。あれからきっと、何人もの人達が彼女の笑顔に支えられてきた」


ニッと笑う先輩に、あたしは満足そうな笑顔を向けた。

その時だった。







「おはようございます」








コツンとヒールの音がした。

先輩がすっと立ち上がり、「おはようございます」と挨拶する。
あたしも倣って立ち上がった。


サラッと長い髪を耳にかけ、あの笑顔で彼女は言った。




「今日はよろしくお願いします」





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