雪がとけたら





…あたしは雪ちゃんの携帯のストラップを見た。


薄くなった文字で書かれてある『さとちゃん』。


あたしはそれを握りしめ、もう一度深く抱き締める。












「…彩架ちゃん」



あたしはそっと、自分の涙を拭いた。




「お姉ちゃんに、話してくれない?お兄ちゃんが話してた、『あいつ』の話。」




彩架ちゃんは少し目を丸くしたが、あたしの手を再び握りしめ、力強く「うんっ」と返事をする。


















…雪ちゃん。










雪ちゃんが置いていった気持ちを糧に、


あたしは生きていく。






きっとこれから何度もあたしは、躓き、転んで、道に迷う。







それでもあたしは、ちゃんと笑うよ。


笑って精一杯、生きていく。


だっていつか、雪ちゃん言ってたよね?









…次に雪ちゃんに会うときに、恥ずかしくないように。









だから雪ちゃん、


ちょっとだけ待っててね?








ほんの少しだけの、さよならね。











ね、雪ちゃん。

















……………







< 294 / 300 >

この作品をシェア

pagetop