雪がとけたら
…あたしは雪ちゃんの携帯のストラップを見た。
薄くなった文字で書かれてある『さとちゃん』。
あたしはそれを握りしめ、もう一度深く抱き締める。
「…彩架ちゃん」
あたしはそっと、自分の涙を拭いた。
「お姉ちゃんに、話してくれない?お兄ちゃんが話してた、『あいつ』の話。」
彩架ちゃんは少し目を丸くしたが、あたしの手を再び握りしめ、力強く「うんっ」と返事をする。
…雪ちゃん。
雪ちゃんが置いていった気持ちを糧に、
あたしは生きていく。
きっとこれから何度もあたしは、躓き、転んで、道に迷う。
それでもあたしは、ちゃんと笑うよ。
笑って精一杯、生きていく。
だっていつか、雪ちゃん言ってたよね?
…次に雪ちゃんに会うときに、恥ずかしくないように。
だから雪ちゃん、
ちょっとだけ待っててね?
ほんの少しだけの、さよならね。
ね、雪ちゃん。
……………