スイッチ
母の葬儀が終わり、四十九日も終わり、私だけが残された。この時はじめて一人になったのだと思った。 私は母の様に強くはない。仕事にも行けずに、ずっと泣いて暮らした。 そんなある日、私宛に届いた小包。差出人不明。 今度こそ、父に違いない。母の死を風の便りにでも聞いたのか。一人になりたくない、そんな気持ちで大事に抱えて仏壇の前に座った。
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