片思い?両思い?
「日向・・・笑ってる・・・」
隆平と早苗はヒソヒソと話をしている。
「そうか」
「久しぶりにみたかも・・あんな楽しそうな笑顔・・・私の前では怒ってるか、困ってるかだったから・・・私がそうさせちゃったんだけど・・・・」
「あいつは本当に楽しそうに笑うからな」
「・・・うん・・・・ところで日向って好きな子いたの?」
「ああ・・・日向の笑顔が何よりも好きだっていう女の子がいるんだよ・・・日向はその子が好きなんだ」
「・・・それって両思いってこと?」
「まぁね・・・日向は片思いだって思ってるけど」
悪戯っぽく隆平が笑う。
「・・・なにか複雑なの?」
「複雑・・・そうでもないかな」
「でも、日向が告白すればうまく行くの?」
「ああ、100%間違いない」
「そっか、じゃあちゃんと別れないと・・ね・・・」
「何?ちょっと寂しい?」
「・・・・ふふ・・・ホント勝手な女だと思うけど・・日向の気持ちってまっすぐだったから・・・思われることが嫌じゃなかったんだよね・・・優しかったし・・・居心地は良かったな」
「そう」
「それが違う子のものになっちゃうかと思ったら・・・やっぱり寂しいかな・・・恵一のことが好きなくせに・・・最低よね?」
「まぁ、恵一と日向はタイプが違うから、どっちも欲しいと思っても仕方ないとは思うよ。ないものねだりってやつだな」
「そっか・・・」
「でも、ケリはつけないとな・・・」
「分かってる・・・ちゃんと別れます!」
早苗はとびきりの笑顔を隆平にむける。
その笑顔を確認して
「よし!」
と席を立った。
「よお!日向、恵一!話は終わったか?」
わざとらしく日向たちの下へ向かった。