片思い?両思い?
隆平!?何出てきてるんだよ・・・。
「隆平?・・・早苗!!?」
恵一は驚いて大声で2人の名前を呼んでしまった。
「注目されてるぞ・・・恵一」
「あ!・・・すまん・・・でも、何で・・・まさか・・日向!」
ジロリ・・と睨む恵一。
「あ、いや・・・ごめん。でも、こうでもしないとさ・・・恵一は本音を言わないからさ」
「じゃ、この辺で俺たちは退散しますか」
「おう、そうするか」
隆平に言われて俺は席を立つ。
「早苗・・・今までありがとな。恵一と仲良くな」
「日向・・・いっぱい迷惑かけてごめんなさい」
「いや・・・じゃあな」
さよなら。
大好きだったよ、早苗。
俺は早苗の頭にポンポンと手をおいて、隆平とファミレスを出た。
「あの2人、うまくやってくれるといいな」
隆平が歩きながらぼそっと呟くように言う。
「ああ・・・その為にやったんだから、うまく行ってくれないと困る」
「ははっ・・・それで日向は?」
「俺?」
「これから、茜ちゃんのとこ?」
「・・・いや、ちょっと考えたいから・・・」
「は?・・・何を?」
「だってさ、茜ちゃんには好きな奴いるだろ?」
「あ・・・ああ、まあな・・・」
「それに、今日早苗と別れました。茜ちゃん付き合ってくださいって言うのもな・・・そんな簡単なのかよって思われねーかな・・・」
「心配性だな・・・」
「そりゃ・・・やっぱり慎重にはなるよ・・・・」
はぁ・・・と呆れたようにため息をついてから
「で?今日はこれからどうするんだ?」
「・・ああ・・行きたい場所があるんだ」
「どこ?」
「・・・教えない」
「なんだよ、それ」
「俺の町が見下ろせる空き地があって、そこに行ってちょっと考えてから、どうするか決める」
「・・・おう、決まったら連絡くれよ?」
「おぅ!・・・じゃ、また明日な」
俺は笑顔で隆平に手を振る。
隆平も笑顔で俺を見送った。