とりかえっこしようよ


大急ぎで家へ帰って、炊飯器をセットして。


ひかりちゃんが食材を買って来てくれた。


今日の晩御飯は石狩鍋だった。


「用意する時間があまりないと思って、今日はお鍋なの」



俺の家で食べたい、ということは。



「……もしかしたらさ、他人に聞かせたくない話があるんじゃない?」


「うん。

……須藤さんのことなんだけどね。

今日、お休みだったの。

病休ってことになっていたんだけど、どうやら無断欠勤みたい。

課長が病休で処理してるんだと思う」


「ふ~ん……出てきたくないのかな?」


「その程度ならいいんだけど……

須藤さんも実家で暮らしているから、最悪の事態にはならないと思うけど。

なんとなく気になって」


ひかりちゃんは優しい。

あんなにいやな目に遭わされていた先輩なのに、こうやって気にしている。

しかも、彼女のことだから『自分が目撃したせいで……』なんて気に病んでいるに違いない。


「気になるのは解るけどさ。

俺たちは部外者でしかないから、あとはそっとしておくしかないんじゃないかな?」


「うん……そうだね」



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